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Q&A

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目次

真空の定義とは??

普段から真空という言葉はよく使われていますが分野としては食品・化学・工業の分野で多く使われています。
真空断熱、真空調理法等、色んな分野で真空という言葉は使われており、真空と言っても実際に考えてみると「空気の無い状態」としか思い付かない状態だと思われます。
真空について日本工業規格(JIS Z 8126)では

大気圧より低い圧力の気体で満たされている特定の空間の状態

となっています。
という事は、普段私達の生活している気圧より低い圧力で密閉された空間であれば「真空」の定義に当てはまります。

気圧とは??

気圧とは水圧と同様に、物体に対し押し潰す力があらゆる方向から働くことを言います。

圧力の単位って??

Pa(パスカル)はSI(国際単位系)の圧力・応力の単位となります。
1Pa=1N/㎡:1平方メートル当り1ニュートンの力が加わると・・・

1気圧=1.013×105Pa =101300Pa

1気圧は「101300Pa」となります。

真空ポンプの性能で、到達圧10Paとなっているがそこまで到達しないがその理由は??

考えられる原因として・・・

1)放出ガスによる場合
2)ポンプのオイル汚れによる場合
3)チャンバーの汚れによる場
4)配管の汚れによる場合
5)真空計の汚れによる場合
6)配管などの微小リークによる場合

以上のことが挙げられます。

真空の定義からすると、空気が薄くなる地上から大気圏外までの間の高い場所も真空と言える??

真空用語 JIS Z 8126 では、次の圧力領域区分が定められている。

低真空:圧力100Pa以上(高度 約10㎞)
中真空:圧力100~0.1Pa(高度 約10~100㎞)
高真空:圧力0.1Pa~10-3Pa(高度 約100~500㎞)
超高真空:圧力10-4Pa以下(高度 約500㎞以上)

地球の半径 約6,400㎞と比べ、わずか数百㎞上空で超高真空が得られることになり、地球のごく表面で真空の問題を考えなければならない。

しかし実際には自然界の上空を真空とはあまり言いません。
それはJISで言うところの「特定の空間」ではないからで、低圧=真空ではないのです。
真空と技術が組み合わさった「真空技術」では、真空ポンプを使って人が作り出した低圧状態を真空と考えることにしています。

真空を取り扱うのに、何か資格は必要??

特に必要な資格はありません。
ちなみに加圧関係を取り扱うには資格が必要です。

真空の単位は圧力(Pa)なのに、なぜ"分子密度"という考え方をするの??

真空は圧力としてはとても低く10-3Paも10-5Paも圧力としてはあまり違いがありません。
そのため圧力として真空をとらえるには無理があり、別の尺度に置き換えてやる必要があり、それが"分子密度"です。
真空は大気圧より低い状態を言いますが、そこには気体があるため、その分子が一定の体積の中にどの位あるかを見れば、大きな差としてとらえることができます。
分子密度の計算には昔から知られている「アボガドロ定数」を使います。
これによってある圧力下ではどの位の分子が存在するのか計算で求められます。
真空を利用して様々な材料を加工する場合、その表面は常にきれいでなくてはなりません。
なるべく低い圧力にして気体の分子の数を減らすことが重要で、その時に利用するのが"分子密度"です。

アボガドロ定数って??

アボガドロ定数とは、物質量1molとそれを構成する粒子(分子・原子)の個数との対応を示す定数です。
空気22.4リットルの中には6.02×1023の分子が存在することが分かっています。
大気圧は105Paであるため、これによってある圧力下での分子の存在数が分かります。

平均自由行程って??

ある閉じられた空間には気体分子が詰まっていて、熱をもつとたえずあちこちに飛んで行き、隣の分子にぶつかっては方向が曲がりを繰り返しています。
こうした動きをする気体分子がどの位真っ直ぐ飛ぶかを測るのが"平均自由行程"です。

気体分子は目に見えないので実際に長さを測るわけではなく、気体分子運動論の中で計算として求められます。
圧力が低いほど(気体分子の数が少ないほど)気体分子は真っ直ぐ飛べるので平均自由行程は長くなります。

通常の大気圧105Paでは平均自由行程は700Aで短時間でみるとその場で振動しているだけですが、101Paだと0.7mm、10-2Paだと70cm、10-3Paでは7mとなります。

装置の幅や高さはせいぜい1~2mほどで、平均自由行程が70cm~7mもあれば、るつぼを飛び出した気体分子は真っ直ぐ基板に飛んで行くことになります。

"平均自由行程"は実際に何のために真空装置を使うかを考えるときに、装置の設計にも関わってくる値のため、その長さを知ることはとても重要です。

単分子層形成時間って??

"単分子層"とは、分子が液体や個体の表面(または界面)につくる分子の直径程度の層を"単分子層"、または"単分子膜"といい、物質の表面を気体分子が覆い尽くす時間を表すのが"単分子層形成時間"です。

圧力とは気体分子が壁などにぶつかって跳ね返る時の相手に与える力で、存在する気体分子のトータルの力が圧力です。

壁にぶつかった気体分子は跳ね返りますが、物質の表面の最初の一層目はくっついている分子が存在します。

気体分子の大きさは分かっているため、物質の表面を分子が覆いつくすまでの時間が計算できます。
大気圧105Paでは3×10-9秒と非常に短い時間で、さらに圧力を下げると10-3Paでは0.3秒、10-8では8時間程度かかります。
8時間という時間があると、表面解析では物質が気体分子で覆われる前の真の表面姿を見ることが出来たり、物質に膜を作るときに気体分子が入らないきれいな膜が作れます。
また、低圧下でごくゆっくりと膜を作ると、きれいな単結晶が得られます。

真空ポンプの性能で、到達圧10Paとなっているがそこまで到達しないがその理由は??(その2)

前記の原因を排除しても、ある程度で減圧は頭打ちになります。
それはどこからか気体分子がやってくるということになるのですが、どこからくるのでしょう。
密閉空間に満たされた気体分子を排出するにつれて、容器の材料表面から離脱してくるようになるからです。

真空装置に使う材料は出来るだけ気体分子を吸着するエネルギーの小さい物を選ぶ必要があります。(材質の吸着量)

実際の装置では幾何学的な表面よりも多くの分子が排出されてきますが、時間が計算できます。
それは見た目の表面積よりも気体分子レベルの表面積(細かい凹凸も含まれた)のほうが広いからで、これを"真表面積"といい、知っておかなければならない要因のひとつです。

真空薄膜生成には何故プラズマが使われる??

プラズマは真空中で放電などによって気体の原子・分子を構成する電子が原子核から離れて正イオンと電子に電離した状態(電離気体)で、とても高エネルギーです。

3つのプラズマ生成方法

1)熱電離
2)光電離
3)放電電離

真空技術では"放電電離"を使います。

103Pa以下の低圧力の気体中に高電圧をかけると、絶縁破壊が生じて低電流で安定した火花放電(グロー放電)が起きます。

ターゲットに負の高電何をかけるとプラズマのプラスイオンがターゲットに衝突して材料の構成物質が飛び出し基板の表面に薄い膜を生成することが出来ます。
又、蒸気をプラズマの中に通すと一部がイオン化され、それを高電圧で基板に引き込むと、付着性に優れた膜が形成されます。

その他プラズマは、被膜形成や加工、金属の溶融など真空技術分野で多く使われています。

真空中での熱の関与は??

圧力の低い真空中での熱の伝わり方は、主に放射と熱伝導になります。
そのうち放射は電磁波として伝わるため気体分子の関与は無く、影響するのは熱伝導です。

ある範囲の一定時間に伝わる熱量は高温と低温の温度勾配に比例しその比例定数を"熱伝導率"といいます。

圧力が高い時は気体分子が容器の壁からもらった熱を気体分子同士の衝突で運動エネルギ

ーとして受渡し熱が伝わっていきますが、一定の圧力以上の場合は分子密度(圧力)とは無関係で気体の構造・種類によります。
気体分子同士の衝突が容器の壁との衝突に比べ無視できるような低圧下("自由分子条件"下)では高温壁からもらった熱を直接低温壁へ伝達するようになり、気体分子の壁への衝突頻度いわく圧力(分子密度)に依存し、熱伝導率は圧力に比例します。

フリーズドライにも真空が??

一番身近な食品ではもうすっかり世の中に定着したフリーズドライですが、水分を凍らせて乾燥することを"凍結乾燥"といいます。

大気圧では100℃で沸騰する水ですが、真空にすると沸騰する温度が下がり610Pa以下の低圧では固体と気体でしか存在できない水の性質を利用して真空中で凍ったまま水分を蒸発(昇華)させる"凍結真空乾燥"に真空が使われています。

この"凍結真空乾燥"は加熱せずに乾燥ができるので、①熱による色や成分の変化を防いだり、②少水分により腐食がしにくく長期保存可能、③凍結状態のままの形状を維持、④乾燥後スポンジ状態(多孔質)になり水やお湯でもとの形に戻る、などの利点があります。

方法は、対象となる物を-40℃で凍らせ容器内を4~100Paまで減圧した後30~60℃で加熱し乾燥させます。

この方法は食品や医薬品に応用されていますが、口の中でフワッと溶けるスポンジ状のチョコレートの製造に"真空発泡"という技術が使われています。
あらかじめ細かい気泡を混ぜて溶かしたチョコレートを真空容器に入れると気泡が膨らんでスポンジ状になるのです。

真空でビタミン??

大気圧のように圧力の高い状態では、水分は蒸発しても表面から飛び出した水分子は気体分子に衝突して水面に戻されてしまいますが真空下では気体分子が少ないため空間に飛び出す分子量が多くなり、結果より多く蒸発するので圧力が低いほど"沸点"が下がります。

2種類以上の液状物質から何かを作るとき作りたい物と原料が混合された状態になりますが蒸発の温度差を利用して沸点の低いものから蒸発させると純度の高いものを取り出すことが出来ます。
この蒸発の温度差を利用する分離製法を"蒸留"といいます。

大気圧下の沸点では高温に不安定な物質は分解・重合を起こして蒸留による精製ができません。
しかし精製装置内を真空にすることで沸点が下がり、ビタミンなど高温に不安定な物質も比較的低温で蒸留でき、加熱による変質が起こりにくく、また酸素も少ないので酸化による分解・重合も防ぐことができす。
これを"真空蒸留"といい、圧力100~0.4Pa・温度は数10~280℃の条件が多く利用されています。

ただ真空下での蒸発は液面の真空に接している部分で起きるので液層が厚いと底部まで蒸発させにくいため、遠心装置などにより液層を薄くして加熱温度と沸点の差を出来るだけ少なくする方法が使われています。

真空蒸留が使われている食品や医薬品には次のものがあります。

○ビタミンA・ビタミンB
○乳化剤のモノグリセライド
○魚類抽出油から EPA・DHA・スクワラン
○動物油から 保湿剤のラノリンアルコール

身の周りには"真空成形"品だらけ??

日用品のトレー・パックから玩具・電気部品・自動車部品まで、その材料として"熱可塑性プラスチック"が使われています。

代表的なものとして、ABS・AES・PMMA・PC・PP・PE・HIPS・PET・PVCなどがあり、最近では複合多層材料やシルク印刷された材料も使用します。

その製品の製造方法として、プラスチック板の両面をヒーターで加熱し柔らかくして金型にセットします。金型の小さな穴から金型とプラスチック板の隙間の空気を瞬時に真空排気して密着させます。
プラスチック板は冷却後に固化するため、真空排気を止めて金型から外し、余分な部分をカットすれば製品の出来上がりです。

この方法を"真空成形"と言い、材料をロール状のシートやフィルムにして連続的に供給しながら一連の工程を行えば、大量生産が可能です。

真空成形は成形圧力が低いので、金型以外の樹脂製等の材料を使用でき安価であるため量産はもちろんのこと、多品種少量生産にも適しています。

エアコンにも真空??

真空というと気体が存在しない状態を想像しますが、大気圧より低い状態を真空と定義すると、身近な製品にも真空が利用されています。

近代の機密性の高い居住空間では室内燃焼機器の使用で汚れた空気を吸ったり室内の人数が多かったり、換気の機会の少ない就寝時などには酸素濃度が低下します。
このような現代人の酸素欠乏体質になりやすい環境を補おうと、エアコンの室外機で高酸素濃度を発生させ室内に供給することで自然環境と同じ快適な空間を保つ機能をもったエアコン製品があります。

酸素発生源はシンプルで、真空ポンプと酸素富化膜で構成されています。有機高分子で出来た酸素富化膜は、膜を通過する分子量の差、つまり分子の大きさではなく分子が膜に溶けてていく速度の差を利用しています。

ポンプで吸引された空気は酸素富化膜に侵入すると膜の中で拡散しますが、酸素分子と窒素分子で拡散の仕方が違うことから、空気中の窒素の割合が減り酸素の割合が増えます。
酸素が約21%、窒素が約78%の通常の気体組成が、酸素約30%、窒素約70%となって室内に供給されます。

nm(ナノメートル)の薄膜生成??

近代テクノロジーの発展にかかせないコア技術"薄膜生成"にも真空技術が使われています。
薄膜製品を思い浮かべたとき、身近にはアルミホイールやラップがありますが、それらは材料を延ばして作るので10μm程度の薄さが限界です。
薄膜技術は、バイオテクノロジー、コンピューター、マイクマシン等のナノテク分野に不可欠なキーテクノロジーですが、その薄さはμm~nmの極薄膜で物理的な引き延ばしでは作り出せません。

そこでは真空中で材料を分子レベルでバラバラにしてから積層させるという高度な技術が使われています。

真空薄膜生成の応用範囲はとても広く、最先端技術分野で製品を創造する原動力と言っても過言ではありません。

商品に関するお問い合わせ等ありましたら随時書き込みを行っていきますのでご参考下さい。

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